2026年2月9日
おはようございます。免疫力改善ラボです。
まだまだ寒い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
インフルエンザや感染症のニュースもまだ落ち着かないこの時期、「絶対に風邪をひきたくない!」と、マスクやアルコール消毒を徹底されている方も多いと思います。
しかし不思議なことに、「対策バッチリなはずなのに、すぐ風邪をもらってしまう人」と、「ノーガードに見えるのに、全く風邪をひかない人」がいませんか?
この差は一体どこにあるのでしょうか?
運? 気合?
いいえ、科学的な答えは「IgA(アイ・ジー・エー)抗体」の量にあります。
今回は、ウイルスの侵入をブロックする「口と鼻の中にある天然のマスク」について解説します。
ウイルスを「秒」で無力化するIgA抗体とは?
私たちの免疫システムは多層構造になっていますが、その最前線に立っているのが「IgA抗体(免疫グロブリンA)」です。
これは、口の中(唾液)、鼻水、喉の粘膜、そして腸管などに存在するタンパク質です。
ウイルスや細菌が粘膜にくっつこうとした瞬間、このIgAがガバッと覆い被さって絡め取り、毒性を消して(中和して)洗い流してしまいます。
つまり、IgAがたっぷりある人は、ウイルスが体の中に入り込む前に、入り口の段階で「なかったこと」にできているのです。
これが「風邪をひかない人」の正体です。
逆にIgAが少ないと、ウイルスは簡単に粘膜を突破し、体内で増殖を始めてしまいます。これが「マスクをしていても風邪をひく」原因です。
なぜIgAは減ってしまうのか?
この重要なバリア機能、実は現代人の生活習慣で簡単に減ってしまいます。主な原因は以下の3つです。
- ストレス・疲労
「病は気から」と言いますが、強いストレスがかかると自律神経が乱れ、唾液中のIgA濃度がガクンと下がることがわかっています。 - 激しすぎる運動
適度な運動は免疫を上げますが、マラソンのような「体に過度な負担がかかる運動」の直後は、一時的にIgAが減少する「オープンウィンドウ(無防備な時間)」が生じます。 - 腸内環境の悪化
これが最も重要です。実は、IgA抗体の全体のおよそ6割〜7割は「腸」で作られています。
腸で作られたIgAが、口や鼻へ運ばれる
「口や鼻を守るのに、なんで腸なの?」
そう思うかもしれませんが、腸で作られたIgAは血液に乗って全身を巡り、唾液腺や鼻の粘膜、気管支へと運ばれて配備されます。
つまり、「お腹(腸)の調子が悪いと、口や鼻のバリア(IgA)が薄くなる」のです。
受験勉強や仕事のストレスで胃腸が弱っている時は、まさに防御力がゼロに近い状態と言えます。
今日からできる!「粘膜バリア」強化術
外側のマスクだけでなく、内側の「粘膜のマスク(IgA)」を分厚くするための方法をご紹介します。
1. 腸を刺激する「乳酸菌」を摂る
IgAを増やすには、その生産工場である腸を刺激するのが一番の近道です。
特に、以前の記事でご紹介した「植物性乳酸菌(ぬか床由来など)」や「ビフィズス菌」には、腸の免疫細胞(パイエル板)を刺激して、IgAの産生を強力に促す働きがあることが報告されています。
私自身、風邪のひき始めかな?と思ったら、いつもの乳酸菌を多めに摂るようにしています。すると翌朝には喉のイガイガが消えていることが多いのですが、これはIgAが一気に動員されたおかげかもしれません。
2. 「よく噛んで」唾液を出す
唾液はIgAを含んだ最強の洗浄液です。
スマホを見ながら食事を流し込んでいませんか? 「一口30回」噛むだけで、唾液の分泌量は増え、口の中のバリア機能は強化されます。
3. ビタミンA(粘膜の材料)を摂る
IgAが活躍するフィールドである「粘膜」そのものを丈夫にすることも大切です。
人参、カボチャ、ほうれん草などの緑黄色野菜に含まれるビタミンA(β-カロテン)は、乾燥しがちな冬の粘膜を潤し、修復してくれます。
まとめ
- マスクの下にある「IgA抗体(粘膜免疫)」こそが、ウイルス侵入を防ぐ最後の砦。
- IgAは腸で作られ、口や鼻へ運ばれる。腸内環境が悪化するとバリアも消える。
- 乳酸菌摂取と「よく噛むこと」で、内側のマスクを強化しよう。
まだ寒い日が続きますが、春はもうすぐそこです。
この時期を乗り切るために、高級なマスクを買うのも良いですが、まずは今日の食事で「腸で作るマスク」の材料を補給してあげてください。
それが、花粉症の時期の「鼻の粘膜バリア」の強化にもつながっていきますよ!
参考文献
- Gleeson, M., et al. (1999). Salivary IgA levels and infection risk in elite swimmers. Medicine and Science in Sports and Exercise.
- Vitetta, L., et al. (2014). Probiotics, immunity and exercise: a review. Pigment Cell & Melanoma Research.