全粒穀物の試験で分かれた便通と便中細菌の結果

全粒穀物による便通と便中細菌の変化は、今回の試験では必ずしもそろっていません。便通に関する結果だけから、細菌も変わったと判断することはできません。

精製穀物食と全粒穀物食を比較した2試験と、全粒大麦や玄米を調べた1試験を取り上げます。食品を変えたときに、便・細菌・お腹の症状のそれぞれで何が起きたかを確かめます。

便通と便中細菌を一緒に調べる理由

穀物を変えた食事の影響を考えるとき、排便の変化と、便の分析で分かる変化の両方が研究対象になります。今回の問いは、便通の変化に細菌の変化も伴うかという、二つの結果のつながりです。

便通の評価には便の重さや回数が、細菌の評価には便に含まれる菌の構成が使われます。お腹の症状は本人の報告に基づき、別の結果として読む必要があります。精製穀物食と比較した2試験からこれらの結果を対照し、大麦・玄米の試験は比較条件と測定項目が異なる補足資料として扱います。

根拠:PMID 28954842、PMID 28179226、PMID 23038174

小麦とライ麦の試験では主要評価項目の結果が分かれた

健康だが過体重の成人70人が、普段の穀物食品を全粒小麦、全粒ライ麦、精製小麦のいずれかに6週間置き換えました。主要評価項目、つまり研究の中心に据えた項目は、細菌の構成と胃腸の症状でした。

細菌の構成には食事による変化がありませんでした。症状では、両全粒穀物群で精製小麦群よりおならが多く、お腹の張りは少ない結果でした。一律に症状が軽くなったわけではありません。

根拠:PMID 28954842

ライ麦の排便回数には測定時点による違いがあった

その他の観察では、ライ麦群の排便回数が精製小麦群より2週目に1日0.4回、4週目に0.5回多く、6週目には差がありませんでした。小麦群にはこの差がなく、便中の酪酸の変化率は両全粒穀物群で精製小麦群より高い結果でした。ただし、全粒小麦と全粒ライ麦の直接比較では、どの測定項目にも差がありませんでした。

根拠:PMID 28954842

食事を提供した試験では便と菌で根拠の強さが異なった

40〜65歳の男性49人と閉経後の女性32人に、体重を維持するための食事を提供し、全粒穀物食と精製穀物食を6週間比較しました。抄録では、主要評価項目は明示されていません。

全粒穀物群では便の重さと排便回数が増加しました。便中の酢酸および総短鎖脂肪酸の測定値の変化も、精製穀物群より大きい結果でした。後者は酢酸や酪酸などをまとめた測定項目で、便全体からの総排泄量を示すとは確認できません。

一部の菌に増減が報告されましたが、複数の比較を考慮した調整後のP値は0.25でした。菌の増減を明確に示す根拠は弱く、便の結果と同じ強さでは扱えません。免疫関連の一部の測定値にも変化がありましたが、その他の細胞性免疫指標や全身・腸の炎症指標には影響がありませんでした。

根拠:PMID 28179226

大麦と玄米の試験では細菌と血液の変化を調べた

健康な28人が、全粒大麦、玄米、両者の等量混合を1日60g、各4週間摂取しました。抄録には年齢、精製穀物の比較条件、主要評価項目の指定がなく、先の2試験と同じ比較ではありません。

いずれの条件でも便中細菌の構成に変化があり、全粒大麦を含む条件では増えた菌が追加で報告されました。また、血液中の炎症に関する指標の一つと、食後血糖の最高値が低下しました。

菌の割合と体の測定値の変化には関連もありました。ただし、これは細菌が体の変化を引き起こした証明ではありません。排便回数の結果は記載されていないため、この試験から便通と細菌の変化がそろったかを判断することはできません。

根拠:PMID 23038174

研究を読むうえでの注意点

  • 根拠は論文抄録のみです。詳しい解析方法、測定単位、記載のない結果は確認していません。
  • 各条件の摂取期間は4〜6週間です。対象には過体重の成人や閉経後の女性が含まれ、長期の結果や幅広い年齢への当てはまりは未確認です。
  • 3試験は食品、比較条件、測定項目が異なり、同じ問いを同じ方法で繰り返し検証したものではありません。

まとめ

  • 排便回数に差が認められても、便中細菌の構成に明確な差が検出されない場合があります。食品による便通の変化と細菌の変化を、同じ結果として扱うことはできません。

参考文献

  1. Gut microbiome composition is linked to whole grain-induced immunological improvements.. The ISME journal (2013). DOI: 10.1038/ismej.2012.104
  2. Whole-Grain Rye and Wheat Affect Some Markers of Gut Health without Altering the Fecal Microbiota in Healthy Overweight Adults: A 6-Week Randomized Trial.. The Journal of nutrition (2017). DOI: 10.3945/jn.117.250647
  3. Substituting whole grains for refined grains in a 6-wk randomized trial has a modest effect on gut microbiota and immune and inflammatory markers of healthy adults.. The American journal of clinical nutrition (2017). DOI: 10.3945/ajcn.116.146928

編集:免疫力改善ラボ。公開された論文抄録・書誌情報に基づく解説です。個別の診断・治療に代わるものではありません。

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