発酵飲料やヨーグルトの研究では、便に含まれる細菌や物質の変化が調べられています。ただし、変化が見つかることと、お通じや体調が良くなることは同じではありません。
この記事では、コンブチャを飲む試験と、ビフィズス菌を加えた発酵乳を食べる試験を紹介します。二つの食品の優劣を比べた研究ではなく、それぞれ異なる問いを調べた研究です。
コンブチャを4週間飲んだ試験
コンブチャは、お茶を発酵させた飲料です。この試験は、西洋型の食事をとる健康な人を対象に、飲む群16人と対照群8人を比較しました。試験全体は8週間、そのうち飲料を摂取した期間は4週間でした。
腸内細菌には変化があったが、血液指標の改善は明確でなかった
飲む群では、便中の一部の細菌が占める割合に変化が見られました。一方、集団全体の血液検査値や炎症の指標に、有意な変化はありませんでした。
各群の摂取前後を比べた解析では、飲む群の空腹時インスリンなどの上昇、対照群のHDLコレステロールの低下も報告されています。好ましい方向の結果だけが出た試験ではありません。
人数の少ない研究で、参加者ごとの差もあります。この結果から、コンブチャを飲めば誰でも腸の調子が良くなるとは判断できません。

発酵乳にビフィズス菌を加えた試験
もう一つは、健康な人を対象に、発酵乳にBifidobacterium longum BB536を加えた場合の違いを調べた試験です。対照群も発酵乳を食べている点が特徴です。
| 対照群 | BB536を加えた群 |
|---|---|
| 2種類の菌で作った発酵乳 | 同じ発酵乳にBB536を追加 |
| どちらも発酵乳を摂取。「食べる・食べない」の比較ではない。 | |
17日目までに、便中の細菌や物質の違いを観察
BB536を加えた群は、ファエカリバクテリウムという細菌の割合が3日目に対照群より高くなり、その傾向は17日目まで続きました。17日目には、トリプトファンなど一部の物質の濃度にも違いが見られました。
これらは腸内環境を調べる手がかりですが、この結果だけで便秘の改善や感染症の予防を示したことにはなりません。また、別の菌株を使ったヨーグルトにも同じ結果が出るとは限りません。
著者の多くは森永乳業の所属です。食品企業が関わる研究であることも含め、方法と結果を読む必要があります。
出典:Ejimaら、BB536を含む発酵乳の無作為化二重盲検試験(2024)
食品を選ぶとき、何を参考にできる?
二つの研究から読み取れるのは、発酵食品という大きなくくりの中でも、使われた食品や菌によって調べている内容が違う、ということです。今回の結果を使って、飲料とヨーグルトに順位をつけることはできません。
- 食品と菌の名前:研究で使われたものと、購入する製品が同じかを確認します。
- 原材料と栄養表示:好みやアレルギー、普段の食事に合わせて選びます。飲料の表示は「100mL当たり」か「1本当たり」かをそろえて読みます。
- 期待すること:食事として楽しむことと、症状の改善を期待することは分けて考えます。
味や価格、食べ切れる量も、日常の食品選びでは大切です。研究の数字だけを理由に、今の食事を急に変える必要はありません。
「細菌の割合が増えた」をどう読む?
便中の細菌について示された割合は、調べた集団全体の中でその細菌が占める比率です。割合が高くなっても、体内にいるその細菌の総数が同じ程度に増えたとは限りません。ほかの細菌の割合が変わることでも、比率は動きます。
例えば、全体の10%から15%になったという数字だけでは、全体の量が同じかどうかは分かりません。今回の研究でも、割合の変化と、菌の絶対的な量の変化を同じ意味で読まないことが大切です。
便中の物質と、本人が感じる変化
便に含まれる物質の測定は、腸内で何が起きたかを考える手がかりになります。一方、お腹の張りが減ったか、排便が楽になったかといった本人の経験は、別に確かめる結果です。物質の濃度が変わったという報告だけでは、その方向が本人にとって好ましいかまでは決まりません。
研究の紹介では、変化した項目の名前に加え、それがどこで測られたものかを確認すると整理できます。便の分析、血液検査、症状の記録はそれぞれ異なる情報を持ちます。複数の結果を合わせて見ることで、食品について分かった範囲を把握できます。
まとめ
コンブチャの試験では一部の腸内細菌に変化がありましたが、血液・炎症指標の改善は明確ではありませんでした。BB536を加えた発酵乳の試験では、便中の細菌や物質に違いが見られました。
腸内で変化が起きたかと、本人の健康にどんな利益があったかは、別の問いです。食品の説明を読むときも、この違いを意識すると研究の意味をつかみやすくなります。
編集:免疫力改善ラボ。本記事は上記論文の抄録・書誌情報に基づく解説です。個別の診断や治療の判断に代わるものではありません。
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